「数学って必要?」を検証〜『素因数分解』編

数学って必要?

素因数分解とはある整数、たとえば36を2^2×3^2と素数(2以上の自然数の中で、1とその数以外で割り切れないもの)の積にすることです。

「ただの数字遊びでこんなものは何の役にも立たない」と思われる方も多いかもしれませんが、実はこの素因数分解がネット社会で非常に重要な役割を果たしています。

それは暗号技術です。たとえばネットでクレジットカードの番号を送る場合、途中の人にその情報を盗まれると大変なことになります。だから、情報を暗号化する必要があり、暗号化に素因数分解が使われています。

その方法の要点を説明しましょう。まず非常に大きな素数PとQ(秘密鍵)を用意し、その積P×Q(公開鍵)という数を作ります。決済会社は公開鍵を公開しますが、秘密鍵は極秘です。情報を送りたい顧客はその公開鍵(P×Q)を使って情報を暗号化します。

その暗号を解読するためにはPやQが必要です。しかし、P×Qは大きすぎて、現在のコンピュータでは現実的な時間で計算できません。だから、最初からPやQを知っている決済会社だけが情報を解読することができるわけです。

このように素因数分解は、ネットの便利さと安全を両立させる「キー」技術として、社会を支えているのです。

Reference:数学大百科事典 仕事で使う公式・定理・ルール127

<解説>

上記の”36″の素因数分解は、高校で習います。しかし、”16637”の素因数分解は、電卓を使っても難しいのではないでしょうか(答えは、127×131です)。

この「掛け算は簡単だが、素因数分解は難しい」という素数の特性を使えば、「暗号化は簡単だが、解読は難しい」暗号を作れるため、素数は暗号の基盤技術に使われています。

なお、近年の素因数分解の世界記録は、2010年に日本電信電話などの研究グループが達成した232桁。300台のコンピュータを使い、約3年かけて計算したとのこと。ちなみに、今の暗号で使われる数字の大きさの主流は、300桁以上とのことです(Reference:文系でも怖くないビジネス数学)。

現在のコンピュータでは現実的な時間で計算できないという意味が、お分かり頂けると思います。

「数学って必要?」とは

数学って必要?」では、数学が社会に出て役に立つのか、また役に立つのであれば、どのような場面で役に立っているのか、ということを解説しています。「数学って必要だったんだ」と少しでも感じて頂ければ幸いです。




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