あるお菓子屋さんが新製品を発売します。その原価は100円です。もちろん値段が高いほど利益は大きくなりますが、値段を高くすると販売数が減ります。ここでは値段をx円とすると販売数は500-x個になるとします。この商品で80,000円の利益を得るためには、販売価格を何円にすれば良いでしょうか。
xを値段とすると、1個当たりの利益はx-100(円)だから、総利益は(x-100)(500-x)と表される。これが、80,000円となるから、
(x-100)(500-x)=80000
整理して x^2-600x+130000=0
解の公式にa=1 b=-600 c=130000を代入して
x=300-200i , 300+200i
つまり、値段を300-200i円、または300+200i円にすれば80,000円の利益を出せる計算になります。しかし、当然こんな値段にすることはできません。つまり、80,000円の利益を出すことは不可能なことがわかるだけです。
2次方程式を実際に使うときには、解が意味のある数字かどうか確認することが必要です。この問題のように虚数になると意味がありませんし、負の数になったときも値段は負にできませんから、意味がないことになります。
Reference:数学大百科事典 仕事で使う公式・定理・ルール127
2乗して-1になる数を虚数といいます(i^2=-1)。虚数を使えば解は得られますが、現実世界において、虚数解は意味がないことが多いです。
なお、2次方程式ax^2+bx+c=0の解の公式は、
x=(-b±(b^2-4ac)^(1/2))/2a
ですが、5次以上になると、解の公式は存在しないことが証明されています。
但し、解が存在しないというわけではなく、四則演算(+,-,×,÷)とべき乗(a^nなど、aをn回掛け算する計算)で表現できないというだけです。
なお、ビジネスで高次方程式を解く場合は、近似計算(厳密解ではなく近似解で代用)が一般的です。
「数学って必要?」とは
「数学って必要?」では、数学が社会に出て役に立つのか、また役に立つのであれば、どのような場面で役に立っているのか、ということを解説しています。「数学って必要だったんだ」と少しでも感じて頂ければ幸いです。