冨島佑允「数学の応用例は、無数にある」

数学って必要?

by 冨島 佑允(外資系生命保険会社 運用担当)

2020年は人類史に残る「コロナパンデミック」という大事件が起きました。日本で感染が拡大しはじめたころのテレビ報道を振り返ると、「指数関数的な感染者の増加」や「再生産数」など、普段聞きなれない言葉を耳にしたことが思い出されます。

そういった言葉の背景には、感染拡大の勢いを予測するための数式があり、それをもとに対策を立てる専門家集団がいました。感染はどれくらいの勢いで広がっていくか、どこまで接触を抑えれば感染は収まるのかといったことを数式を駆使して分析し政治家へ対策を提言していたのです。ほんの一握りの数式が1億2千万人の運命を左右しているのです。

コロナに限らず、近年は数理的な話題が世間を騒がせることが多くなりました。例えば、機械学習では数学の一分野である統計学を駆使してビッグデータを処理していますし、ロケット・ドローン・空飛ぶクルマは微分積分学を応用して飛行しています。

また、地震の研究や音楽のデジタルデータ化には三角関数が不可欠です。最近では、セガが社内勉強会用の数学教材を一般公開にして話題になっていました。

それはゲーム制作の際に用いる高度な数学知識を150ページにわたって解説した資料です。ゲームをプレイする側に数学は必要ないかもしれませんが、ゲームを制作するクリエイターの側には数学が不可欠ということです。他にも応用例は無数にあり、現代社会はいたるところに数学が浸透しています。

数理人材がビジネスの命運を左右することも当たり前になりました。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンを再建した森岡毅氏の著書『戦略思考の確率論 USJでも実証された数学マーケティングの力』(角川書店)はベストセラーになりましたが、本の中で森岡氏は、数学を駆使してアトラクションの需要予測を立て、USJをV字回復に導いた話を展開しています。

慶応大学教授・ヤフー株式会社CSO(チーフ・ストラテジー・オフィサー)の安宅和人氏も著作を次々と出版されており、理系人材の存在感がますます高まっています。

ビジネスの世界ではもはや数学が不可欠になり、「文系」であろうと今まで数学を避けてきた方であろうともう元の世界には戻れません。今や、数学に関する基礎的な理解は「一般常識」として身に着けるべきものとなりました。数学を理解せずして現代社会を理解することはもはや不可能と言えるでしょう。

Reference:なぜ数学を学ぶ「文系卒ビジネスマン」が急増しているのか?

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「数学って必要?」とは

数学って必要?」では、数学が社会に出て役に立つのか、また役に立つのであれば、どのような場面で役に立っているのか、ということを紹介しています。「数学って必要だったんだ」と少しでも感じて頂ければ幸いです。

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