年賀状の印刷をお店にお願いすることを考えてみましょう。A店は5枚印刷すると2,000円、15枚印刷すると4,000円かかります。B店は、初期費用は2,000円で、印刷は1枚150円です。(中略)
ここでA店の「5枚印刷すると2,000円、15枚印刷すると4,000円かかる店」という表現とB店の「初期費用は2,000円で、印刷は1枚150円の店」という表現のどちらがわかりやすいでしょうか。
情報量は同じなのですが、B店のほうがわかりやすいと思います。B店は傾き(1枚当たりの値段)と切片(初期費用)で総費用を示しています。
1次関数を実際に使うときに、切片と傾きは特別な意味を持つことが多いです。だから、1次関数では傾きと切片を重視するのです。
Reference:数学大百科事典 仕事で使う公式・定理・ルール127
印刷枚数をx枚、総費用をy円とし、A店、B店の枚数と総費用の関係を求めてみます。
まず、A店ですが、5枚印刷すると2,000円、15枚印刷すると4,000円かかるので、「x=5、y=2000」「x=15、y=4000」を、y=αx+βに代入して連立方程式を解くと、α=200、β=1000となるので、
y=200x+1000
となります。
B店に関しては、初期費用は2,000円で、印刷は1枚あたり150円なので、
y=150x+2000
となります。
これらの式の交点を求めると、
x=20
y=5000
となるので、印刷枚数20枚の場合は、A店、B店どちらに発注しても同じ費用(5000円)になり、印刷枚数が20枚未満であればA店、21枚以上であればB店の方がお得になることがわかります。
このようにグラフにすれば、
「A店は初期費用は安いが、1枚あたりの値段は高い」
「B店は初期費用は高いが、1枚あたりの値段は安い」
ということが明確になるので、両者を比較することが可能になります。
本件の場合、傾きが1枚あたりの値段、切片が初期費用と、意味のある数字になるので、重要視されるのです。
「数学って必要?」とは
「数学って必要?」では、数学が社会に出て役に立つのか、また役に立つのであれば、どのような場面で役に立っているのか、ということを解説しています。「数学って必要だったんだ」と少しでも感じて頂ければ幸いです。